北新地をフラフラと歩いていた僕らはついつい看板の前で足を止めてしまいました。FOODee編集長アカヌマです。
BAR には行き慣れていても、見知らぬ地でいきなりBARの扉を開けるのってやっぱりちょっと抵抗があるんです。
だって、その店が思ってたようなBARとかけ離れた業態かもしれないからです。
以前、都内でオーセンティックなBARだと思って入店したらガールズバーだったことがあってがっかりしたことがありました。
BOURBON BAR 十年
でも、今回はきっと大丈夫。
この看板ですよ。
BOURBON BAR ってしっかり書いてあります。そして 1967。50年続いているBARなんて早々ありません。
きっとバーボン好きなマスターがいて、適切なレコメンドとうんちくで僕の僅かしかないバーボンの経験値を大きく高めてくれる予感しかしません。
扉を開けると、そこには想像通りの世界が広がっていました。
入店した瞬間に「このお店にしてよかった」って思うタイミングは結構ありますよね。ここはそういうお店でした。
マネージャーと書かれた名刺をくれたバーテンダーの笠岡さんは、ほっとくと大阪弁で延々と喋り倒してくる面白い方です。
やっとの思いで彼の口撃を交わして僕の好みを伝えると出てきたバーボンはこちらでした。
Bardstown Club
僕がシングルモルトが好きだということで出してくれたバーボンは、今まで僕が飲んだどんなバーボンよりもスコッチウイスキーに近い味わいを感じました。
マイルドで柔らかくて、とてもトウモロコシが51%以上入っているとは思えない味わいで、ケンタッキー州でこんな繊細な味わいが楽しめるなんて思ってもいませんでした。
チェイサーは牛乳
ちなみにここのお店。チェイサーは牛乳なんです。
あまりにも自然に出てきたのですが、聞くと「二日酔い防止」のために出しているのだそうです。
そう言えば二日酔い防止で豆乳を飲み会前に飲む方を何度か見たことがあります。なんでも胃に膜を作ってアルコールが吸収されないとかなんとか聞いた事がありますが、個人的には錠剤のヘパリーゼをウコンで流し込むのが一番効く気がします。
どっちにしろプラシーボかもしれませんが。
Bourbon de Luxe
僕の好みをしっかりと把握してくれた笠岡さんの二本目はこちらです。
ちなみに最近のBourbonは違うみたいですが、古いバーボンは瓶の裏にボトリングビンテージが書いてあるそうです。初めて知りました。
ちなみにこのバーボンがボトリングされたのは1981年。つまり、僕のバースデービンテージというわけです。
樽の風味を付くよく感じながら一口飲むと、口の中に柔らかくてふわっと広がるような口当たりの良さでスルッと飲めてしまいます。
ところが、その後はしっかりと樽香と酸味と微かな苦味を感じて、その後一気に口の中で強烈に開いたかのように辛味を感じます。
実に面白い複雑味。そして、コクの有る旨味。風合いを感じるバーボンです。
これは素晴らしい。
バーテンダーのお仕事
この手のBARのバーテンダーは色々なタイプがいますが、総じてお酒好きな方が多い気がします。
バーテンダーの笠岡さんも驚くほどのバーボン好き。もとはシングルモルトが好きだったそうですが、途中からバーボンの魅力に取りつかれたとのこと。
バーボンのお陰で結婚できなかったお話は直接お店に行って、他のお客様がいないときにでも聞いてみてください。
面白い(と言っては失礼ですね!)話が聞けること間違いありません。
好きなもののために傾ける情熱は愛だの恋だのより強いのかもしれませんね。
ちなみに笠岡さん。写真掲載の許可を頂いたのですが、はぐれメタル並にすばしっこく動きまくるため、何枚か写真を取ったのですがブレブレの写真しか残っていませんでした。
まだ一回しかお会いしていないのですが、なんだか笠岡さんらしいなって思いながら僕らは店を後にしたのでした。
北新地に降り立った際にまた行きたいお店が一つ増えました。
ごちそうさまでした。
十年(とおねん)
かなり面白いキャラクターのバーテンダー笠岡さん。
一人でしっぽり飲みたい時は向かないかもしれませんが、美味しいバーボンとの出会いと彼の止まらないマシンガントークでしっかりと酔わせてくれるはずです。